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小説一覧

  • 完璧な従者

    「ねぇ、ナギ」「はい、お嬢様」 「ナギがいてくれるから、私も一緒に頑張れるの」

  • 特別なカフェラテを

    ――首長竜に縁があるってどういう人なのかしら?――

  • チョコの味は、

    ブランカは甘いものが好きじゃないからこのチョコはあげられないな。マスカーニャさんはどうだろう、食べてくれるとは思うけど一粒じゃ物足りないかもしれない。

  • 眠れぬ夜と朱い夢

    知りたいと思うこの気持ちが愛だったらいい。できればいつも隣を歩いてほしいというこの願いが愛だったらいい。眠れない夜に何度も想った朱が愛の色だったらいい。

  • 二度目の賭けに手を振って

    「防犯の基本その一、怖い目に遭ったら大声を上げること」

  • 本の栞は軽やかに

    目と目を合わせてポケモン勝負……というトレーナーとしての憧れは今はまだ叶えられないけれど、ここでさようならはあまりにも惜しい。誰かと仲良くなりたくて、一歩踏み出したくて私は今ここにいるのだから、と小さく深呼吸してお願いを切り出した。

  • 「また明日」が言えたら

    あなたといつまでも『また明日』を言いたい。言えたらいいのに。いつか、いつか――

  • 嵐の中の月

    嵐の中に月の光が見えた。大雨の打ち付ける窓の外に、薄明るく光る何かがある。雷のような一瞬の眩しさでなく、ぼんやりと淡く輝く何か。部屋を出て、そっと階段を降り、寝静まった家族に気付かれないよう玄関に立つ。

  • 背を押すその手は

    「ニトロチャージ……」 「うん、君のたきびなら覚えられるはず」 電話越しに小さく聞こえる「よっしゃ」という声に、小さな誇らしさが湧いてくる。

  • その魔法は誰のため

    世の中には勉強するだけでは知りようもないこと、解明しようのないものばかりが溢れていることを思い知らされる毎日だ。嬉しい、楽しい、優しい、綺麗。あとは……。

  • この手がふれたら

    水平線の近く、入道雲を見上げながら、ミナモとトクサネをつなぐ連絡船に小さく手を振った。教室の窓の向こうなど、通り掛かる船から見えるはずもない。それでいい。これは遠く海を渡る船にほんの少しの想いを乗せる、私なりの願掛けなのだ。

  • 夢と君の御枷話

    暗い部屋、青い光の前で幾度となく考えた。 私は何のためにここにいるんだろう。何のために生きてるんだろう。 その答えが、きっと今日だったのだ。

  • 五千日の天秤は一夜に揺れる

    遠く遠く、さざなみ立つ水平線がささやかに、まばゆい星々を抱えて揺れている。 華やかな祭りの時間は過ぎ、残るはかすかな煙だけ。 何かを等しく大切にはできないし、同じように等しく突き放すこともできないから。 淡く深い後悔も、確かにあった幸福も、すべてはこの胸の内に。

  • 流れ星は帰らない

    数日間の厄介払いだったのか、大人の都合を隠す優しさだったのか、それすら私には分からない。 赤と青、ガーディとロコン、遊園地と図書館、あの子とこの子。いつの間にか持たされた秤に、いつの間にか何かが、誰かが乗っている。ひとつずつ、丁寧に選びとって落とした。

  • 嘘と夜行列車

    ツカサ、キミののろいはいつか解けるのだろうか。

  • 無心の階段

    「”正しいこととは”何ですか。」ここには誰もいません。

  • 託しもの

    「ああここで話してたって、いつまで経っても埒が明きやしない。これ、持ってくからね。」「好きなだけ持っていけ。俺はここで魔具を作ってるから。外は任せた。」さっきまで怒鳴り合っていた指導員は、もううんざりしたとばかりにスンと話を切り上げ、お互い…

  • 入用のもの

    ソニアが階段を折りて訪れた作成室は、慌ただしい雰囲気で満たされていました。同じく閉じ込められ、ああでもないこうでもないと右往左往する指導員や商業棟のスタッフ達は絶えず、半ば怒鳴るように小難しい話をぶつけ合っています。ソニアは自分の専門分野と…

  • 願え小ネズミ

    草陰に隠れて、のたうち回るような幾筋もの地響きをやり過ごした。私の小さい体で無策に飛び出せば、この地面の下を無秩序に食い荒らす魔物に飲み込まれてしまうことは明白だ。しかし、この小さい体のお陰であの巨躯や魔物のような、人のような何かに見つから…

  • 星が落ちる日

    いつか夜空中の星が落ちてくる日が訪れたなら、私は月と星を見てみたいのです。

  • その魔法は世界の一欠片

    赤く塗られた扉が目の前にあった。手をかけてゆっくり開くと謎の文様が浮かび上がる。この部屋に入ったことは学生時代も指導員になってからも一度もない。文様は私の知らない防護魔法の陣か、それとも入退室の記録がされる自動書記系の陣だろうか。火薬草の保…

  • 栗鼠と火薬草

    「これは……火薬草」袋に刻まれた防火の魔法陣を見て、水をまとわせたつもりでいた無防備な手に気付く。今のところ目立った命の危険に晒されてはいないとはいえ、この未曾有の緊急事態で魔法が使えないことを度々忘れそうになってしまうのは如何なものか。袋…