墨染めの黒に花束を
こうやって焦るのも何度目だろう、いつも人と関わるときはこうなってしまう。こわくて、ちょっと痛くて、でも、それを超えたいと願う思いがある。少し震えてしまいそうな手を差し出して、続ける。あと、できれば笑ってるように見えていますように、今の表情。
コランダ 文章リリー
髪を切った日のこと
ナギに「どうされたのですか」と聞いてもらいたくて、そしてもし叶うのなら「お似合いです」なんて言ってもらいたくて――。
コランダ 文章コトリ,メラ
濃い味のカレー
たぶん、その言葉は、いつもの彼の正直で率直な言葉なんだろうけど。辛いものは苦手だけど、別に食べていたカレーがそうだったわけじゃない。隣にいるのは、私の大切な、友達。
コランダ 文章リリー
完璧な従者
「ねぇ、ナギ」「はい、お嬢様」
「ナギがいてくれるから、私も一緒に頑張れるの」
コランダ 文章コトリ
特別なカフェラテを
――首長竜に縁があるってどういう人なのかしら?――
コランダ 文章コトリ
チョコの味は、
ブランカは甘いものが好きじゃないからこのチョコはあげられないな。マスカーニャさんはどうだろう、食べてくれるとは思うけど一粒じゃ物足りないかもしれない。
コランダ 文章リリー
眠れぬ夜と朱い夢
知りたいと思うこの気持ちが愛だったらいい。できればいつも隣を歩いてほしいというこの願いが愛だったらいい。眠れない夜に何度も想った朱が愛の色だったらいい。
コランダ 文章コトリ
二度目の賭けに手を振って
「防犯の基本その一、怖い目に遭ったら大声を上げること」
コランダ 文章リリー
本の栞は軽やかに
目と目を合わせてポケモン勝負……というトレーナーとしての憧れは今はまだ叶えられないけれど、ここでさようならはあまりにも惜しい。誰かと仲良くなりたくて、一歩踏み出したくて私は今ここにいるのだから、と小さく深呼吸してお願いを切り出した。
コランダ 文章リリー
「また明日」が言えたら
あなたといつまでも『また明日』を言いたい。言えたらいいのに。いつか、いつか――
文章 祝命スリィ
嵐の中の月
嵐の中に月の光が見えた。大雨の打ち付ける窓の外に、薄明るく光る何かがある。雷のような一瞬の眩しさでなく、ぼんやりと淡く輝く何か。部屋を出て、そっと階段を降り、寝静まった家族に気付かれないよう玄関に立つ。
八百万の隣人 文章八百万の隣人
背を押すその手は
「ニトロチャージ……」
「うん、君のたきびなら覚えられるはず」
電話越しに小さく聞こえる「よっしゃ」という声に、小さな誇らしさが湧いてくる。
トレ録 文章ヒルタ