文章

チョコの味は、

ブランカは甘いものが好きじゃないからこのチョコはあげられないな。マスカーニャさんはどうだろう、食べてくれるとは思うけど一粒じゃ物足りないかもしれない。

眠れぬ夜と朱い夢

知りたいと思うこの気持ちが愛だったらいい。できればいつも隣を歩いてほしいというこの願いが愛だったらいい。眠れない夜に何度も想った朱が愛の色だったらいい。

本の栞は軽やかに

目と目を合わせてポケモン勝負……というトレーナーとしての憧れは今はまだ叶えられないけれど、ここでさようならはあまりにも惜しい。誰かと仲良くなりたくて、一歩踏み出したくて私は今ここにいるのだから、と小さく深呼吸してお願いを切り出した。

嵐の中の月

嵐の中に月の光が見えた。大雨の打ち付ける窓の外に、薄明るく光る何かがある。雷のような一瞬の眩しさでなく、ぼんやりと淡く輝く何か。部屋を出て、そっと階段を降り、寝静まった家族に気付かれないよう玄関に立つ。

背を押すその手は

「ニトロチャージ……」 「うん、君のたきびなら覚えられるはず」 電話越しに小さく聞こえる「よっしゃ」という声に、小さな誇らしさが湧いてくる。

その魔法は誰のため

世の中には勉強するだけでは知りようもないこと、解明しようのないものばかりが溢れていることを思い知らされる毎日だ。嬉しい、楽しい、優しい、綺麗。あとは……。

この手がふれたら

水平線の近く、入道雲を見上げながら、ミナモとトクサネをつなぐ連絡船に小さく手を振った。教室の窓の向こうなど、通り掛かる船から見えるはずもない。それでいい。これは遠く海を渡る船にほんの少しの想いを乗せる、私なりの願掛けなのだ。

夢と君の御枷話

暗い部屋、青い光の前で幾度となく考えた。 私は何のためにここにいるんだろう。何のために生きてるんだろう。 その答えが、きっと今日だったのだ。