《小説》八百万の隣人 嵐の中の月嵐の中に月の光が見えた。大雨の打ち付ける窓の外に、薄明るく光る何かがある。雷のような一瞬の眩しさでなく、ぼんやりと淡く輝く何か。部屋を出て、そっと階段を降り、寝静まった家族に気付かれないよう玄関に立つ。 八百万の隣人